***

1/7
前へ
/8ページ
次へ

***

 久しぶりの再会に、私は思わずを覚えていた。  「分からないところがあるから、勉強を教えてほしい」と言った相手は、まさしく私の従弟の凌馬(りょうま)である。だが、その姿は私が知っている凌馬とは大きく。野球をやっているため、坊主頭なのは相変わらずだが、声も身長も体格も、喋り方も態度も何もかもが変わっている。  凌馬が中学生になり、学ランを見せに来た時以来会っていなかったため、もう四年会っていなかったことになる。四年でここまで人は変わってしまうのかと思うと、恐怖をつい覚えてしまった。 「凌馬、だよね?」 「そうだけど」 「本当に、凌馬?」  顔も大人びてるし、あれほど柔らかな笑みを見せていた凌馬の姿はもうどこにも。そこにいるのは、ただ無表情で私を見下ろす見知らぬ人間だった。ゲームをしながら、一緒にはしゃいでいた思い出がまるで嘘かのようだ。 「変わったね……」 「そう? 四年会ってなかったんだから、そう思うだけじゃない?」  そう言って凌馬は靴を脱ぐと、ズカズカと私とママの布団が敷いてある部屋へ行く。今は夏休み、祖父母の家に帰省中なのだ。  祖父母は自営業のため、一階にある職場で働いている。もう定年もとっくに過ぎているから、今まで働いた分休めばいいのにとママは言うけれど、二人とも頑固なため、頑なに意見を変えようとしなかった。ママは職場で丁度働いているところだ。今、祖父母の家にいるのは私と、凌馬、そしてトイプードルのココアだけとなる。  私は凌馬の後を追うと、凌馬は机の上に荷物を置いて、勉強用具を取り出していた。 「真由子(まゆこ)、大学どこだっけ?」
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加