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昼休みが終わるチャイムが鳴った。
それからの記憶は曖昧だった。寮に行く道で、誰かと会った気がするがよく覚えていない。
とにかく早く部屋へ帰りたかった。いっぱい泣きたかった
3年半片思いしたのに失恋した。しかも相手は仲の良い奴。蓮は、中二の時に外部生で1人ぼっちだった俺に初めて仲良くしてくれた、同級生。
あの時は本当に嬉しかった。親から跡取りの道具として使われ、外部生で跡取りで目立って誰も話しかけてくれなかったのだ。
あいつはおれのおんじんですきなひと。
「...っ、うっ...ッ...」
自室に帰る前に涙が出てきた。止まれ。止まってくれ。恋愛ごときで、泣く訳にはいかない。
将来会社を担っていく跡取りだ。我慢してくれ、俺の涙腺。
それでも止まってくれない。
「...ッグスッ、...ウッ...ッ」
やっと目の前に自室の壁が現れた。ズボンのポケットに乱暴に手を突っ込み、鍵を探した。
早く
手に、何かが当たった。やっと部屋に帰れる。ほっとして、それを取り出す。
「えっ.....?」
自分の手に現れたのは、自室の鍵では無くあいつの部屋の鍵。そう、蓮の部屋の鍵だった。
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