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それから、怒涛の日々が始まった。
印紙を貼って判子を押した契約書を見ながら、この仕事の規模にビビっている響さんだった。
そりゃそうだろう、全体のスケジュール的に1年はかかる予定だろうし、制作の半ばで一旦支払いがあって、公開後残りを支払いするという契約だった。
特に喜んでいたのは、サウンドトラックを出すということだった。
映画のサントラのためにレコーディングもするので後半は忙しくなるらしい。
と響さんが嬉しそうに話してくれた。
無事に公開の日を迎えれるのだろうかと私は心配していたけど、響さんは毎日楽しそうに、ひたすらピアノとキーボード(とパソコン)にむかっている。
今までは週末限定だったけど、仕事から帰ってきてから2〜3時間は作業時間になった。
その合間にプロデューサーから細かく指示が入ったり、スケジュールの確認や、作品の一部を見ながらオンラインで打ち合わせをしている。
忙しいのだけど、順調に制作は進んでいた。
それにしても順調だな……順調すぎて怖いくらいだと思っていた矢先に「それ」が訪れた。
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