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それは、泣く子も黙る「スランプ」である。
それは何に気無しにやってきて、あれ?あれ?という間に重い症状に陥ってくる。そして回復する方法は人それぞれ。回復するかどうかもわからない。
響さんにもそれは突然やってきた。
劇中の曲を作っている時、プロデューサーから曲のイメージや作画を見せてもらって、作っていた。
最初は、いい感じ、その調子でと言われていたのだけど、次に聴いてもらったら、「あれちょっと違うかな。こんな感じで」と抽象的なイメージを提示される。そのイメージの伝わり方がだめだったのか。何度もやり直しているうちに、全部やり直しになってしまったらしい。
ここのところ毎日、朝からため息ばかりついていて、私が話をしてもほとんど上の空状態だった。
仕事に行って、その間は気を紛らわせているようだけど、明日から5月の連休が始まる。
否応なしにピアノにキーボードに向かわないといけないのは、ちょっと酷だろうなあと思っていた。
明日はちょっと息抜きさせておかないと、先が思いやられそうだ。
私は響さんは今夜もおそいのかなと思いながら、あっという間に眠りにおちてしまっていた。
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