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「なるほど。じゃあ、この写真は周りの人間を意図的にファインダーから外して写したってことやな」
「多分、そうだと思いますよ。背景見た限り、忘年会をやったお店っぽいですから」
「ちゃちなフェイクニュースやなぁ~。ほな、正直にその旨、マスコミさん達にファックスしておくわ! 実はな、さっきから問い合わせが殺到してていい加減うざかったんや。これですっきりやな、ガハハ!」
――等と、社長が楽観的に構えていたのも無理はないだろう。事実、私は坂川と「密会」等していないのだから。
事実をありのままに伝えれば、こんなゴシップすぐに忘れ去られる。そう思っていたのだが……甘かった。
数日後、同じ週刊誌に『坂川、番組を降板。共演女優との不倫の責任を取ってか』等という噴飯物の記事が掲載された。それも、かなり大きい扱いで。
坂川は関西の大手芸人事務所の看板タレントだ。それが番組を降板するとなれば確かに大きいニュースだけど、「共演女優との不倫の責任を取って」というのが解せない。
言うまでもなく、この「不倫」というのは先日載った私と坂川との「密会」というフェイクニュースのことだろう。何故、やってもいない「不倫」の責任など取る必要があるのだろうか?
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