バーニング・ファイア

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「まぁ、亜理紗くらいの歳の子には分からんよな。俺かて『ないわー』って思うわ。坂川くらいの歳の芸人にとっちゃな、『女優と不倫する』ってのはごっついステータスなんよ。正真正銘の不祥事なのに、一部のアホは『男としての格が上がる』とか、未だに勘違いしとるねん。ホンマにアホやわ」 「……なんですか、その理屈。番組の降板と不倫じゃ、全然釣り合わないじゃないですか! 今の時代に芸能人が不倫なんてしたら、下手するとレギュラー全降板ですよ!?」 「だからアホや、言うてるやろ。坂川の完璧な自爆や。しかもお前を巻き込んだ、な。ええ加減にしてほしいわ、ホンマ!」  怒りに任せて、社長が週刊誌を床に叩きつける。つまり、事態はそれほど深刻だということだ。  その日以降、ゴシップ紙がこぞって私と坂川のありもしない「不倫」について書き立て始めた。  「あることないこと」どころか「百パーセント事実ではない」記事ばかりだったけれども、下世話な読者の下衆な気持ちに火をつけるのには十分だったらしく、私のSNSアカウントはたちまち炎上した。
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