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意外と可愛いやつ
廊下を曲がったところに2人はいて、というより九条が藍に羽交い締めされてるというなんとも奇妙な光景
「凄い、藍ってほんとに強いんだ…」
「あ!奏多!こいつどうにかしてくれ!教室に来たがらないんだ!」
「うっせえ!離せ!」
今にも九条が抜け出して、…は藍がしっかり絞めてるから出来なさそうだけど
怒り狂って大変なことになりそうで焦る
どうしたらいいのかさっぱり
俺九条と仲良くないし抑え込むのとか得意じゃないんだけど、考えた末
「クッキー、食べる?」
ダメ元で聞いてみたらばっとこっちを振り向く九条
その目はギリっと俺を睨んでるようで怖い
やっぱり食べるわけないよな
「仕方なく、貰う…」
「なに!クッキーくれんの!頂戴!」
2人してさっき取っ組みあっていたのが嘘かのようにワンちゃんが餌を求めるように傍によってくる
素直な態度が2人とも可愛い
「これ、あげる」
九条の方は意外と丁寧にクッキーを受け取りすぐに食べだした。表情は変わらないがぱくぱく食べてくれてるから不味くはないのかな。
「これパッケージとかないのか?」
「あー、」
引かれることは無いだろうけど一応自分が作ったということは伏せておきたかったが藍は目ざとくパッケージの無いお菓子に反応した。
「もしかして、手作りか!?」
「まぁ、そんなとこ…」
「お前、凄いな…」
感動の言葉を貰うがそれは聞いてきた藍ではなく早速クッキーを食べ終わった九条だった
相変わらず真顔だけどなんか目が輝いてる気が
「こんな上手いクッキー作れるとかすげえな」
「うん!むっちゃ上手い!」
またもや素直な反応に少し照れる
この2人は男がクッキー作るとかどうでもいいようでよかった。それよりも美味しいとすぐに褒めてくれた、心配はご無用だったようだ
「おい、食わねえなら俺が食うから寄越せ」
「俺が貰ったやつだ!俺が食べる」
「1個ぐらいいいだろ」
そういってクッキーの取り合いをしだす2人に頬が緩む
「教室にまだあるけどいる?」
「あるのか?!…貰ってやる…」
嬉しそうな顔をしたがすぐにいつも通りになる
でもそれは無理があるだろ…
なんだ、九条って良い奴じゃん
「奏多!流石だな!自然と美咲が教室に戻るよう促すなんて!」
「おまっ!騙したな!」
「え!違うって」
やっぱり戻らないと不機嫌になる九条
藍もしまったという顔で口を抑えた
そういう素直なとこが藍のいいとこだけど
やらかすことも多いよな
「さっきのと違う味あるんだけど、…貰ってくんねえの…?」
「………何味だ……」
「チョコと抹茶」
「…………行く」
なんだコイツ可愛いじゃん笑
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