何部屋

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何部屋

どうやら俺が周りの目を気にしていた間に鍵付きの部屋に着いていたらしい。だからあんなに呼ばれたのか。部屋についても鍵を取りに行く様子もなかったからいつ取りに行くのかと思っていたらポケットからカードを取り出す先輩。風紀を守るために風紀委員長だけはどこの部屋も出入りすることが出来るカードを持っているらしい。 そんなカードを俺のために使うなんて申し訳ない 「こんなことに使ってもいいんですか?」 「いつもは使わないんだが可愛い後輩のためだ」 内緒だぞと悪い顔をして笑う先輩に少しドキッとした。初めて見た表情だったからで別に好きとかそういうのでは無い。いつもは硬派で厳格な人が急にコロコロと表情をかえるもんだからだ。先輩の顔を見ずらく目を逸らしながら言った感謝の言葉はいつもより声が小さくなってしまった。 可愛い後輩…少なからず俺の事を好いてくれているらしく嬉しい。先輩との昼の時間は無言の時間もあったりする。俺はその時間も苦痛ではなく逆に落ち着いてどちらかと言うとその時間の方が好きだったりするのだが先輩の気持ちは分からなかった。前よりは表情も柔らかくなっていたがやっぱり真顔の方が多かったからもしかしたら面倒だと思われているのかもしれないと思っていたから。 嬉しくて上がってくる口角を必死に抑えていると鍵を開けていたらしい先輩に手を引かれる。その顔はやっぱり笑顔でいつもと違う先輩にドキドキさせられっぱなしだ。 「藤崎のお目当ての場所だったらいいんだが」 「すっげぇ…」 外観は普通だったのに入れば中は貴族の部屋のようだった。天井にはシャンデリアがありソファや家具も高級そうだ。触れてはいけない気がするがセミダブルのベットも高級そう。なぜあるのかはスルーしよう。話すだけだしどんな部屋でも良かったのだがこんなにいい部屋を用意してくれたのも俺のため…なんて自惚れてしまう。 「最高っす!ありがとうございます!」 「喜んでくれたようで良かったよ、ところで何に使うんだったか?」 「生徒会と「…生徒会?」 あまりに豪華な部屋に物珍しいものもあり色んなものを見て回っていた。一通り見てふわふわそうなベットに触りたい欲求が抑えきれず少しだけ手を置くとそのふわふわさに感激していると先輩からの問いかけに何も考えずに答えてしまいそうになる。生徒会、とだけ言葉にした時先輩がいつもよりも低い声で繰り返すもんだから自分の失言に気づく。 慌てて振り返ると見たこともないほど怖い顔をした先輩が真後ろにいた。 「あ、あの…うわっ!?」 こんなに怖い顔を見たことがなくて生徒会のことを言ったのは本当に失敗したと後悔した。でも先輩の事だし全部説明したら納得してくれるだろうと全て話そうとすると突然肩を押される。なんの構えもしてなくてすぐに後ろに倒れる。押し倒されている、変な状況にもう少し慌てた方がいいのかもしれないが怒ってもかっこいい先輩の顔に見惚れながら背中に感じるベットの感覚が想像以上のふわふわさに感激していた。 このベットなら朝起きれなくなるな…
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