悠真②

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シャワーを浴びて髪の毛を乾かし、俺はベッドの上に倒れ込んだ。 あー、まだ外が明るい。 夜勤明けって意外と眠くない。 頭は疲れてるのにヒートアップしすぎて、リミッターが外れてるような感じ。 でも、ここで無理矢理にでも寝ないといつかガタがくる。 そうやって体を壊す人を何人見てきた。 俺は目を瞑って、体が眠りに入るのをただ静かに待つ。 目を覚ますと部屋は真っ暗だった。 俺はスマホを手に取って時間を確認する。 「1時か……」 画面の通知に気付いてメールアプリを開くと、 「再生回数 100回突破」 とメッセージが来ていた。 アップした動画を見にいくと、確かに100を超える再生回数が表示されている。 コメントもある。 「ブラック企業=ブラックコーヒー 笑」 「僕もブラック企業に勤めてます(泣)  一緒に苦いコーヒーを飲んで語り合いたいです」 「ゆったりコーヒーを煎れるのと毒舌な感じのギャップが面白いです。  今度はパンケーキとか作ってみて欲しいです!」 今まで動画は見る側だったけど、 自分があげた動画にコメントもらえるとやっぱり嬉しいもんだな。 知らない誰かに自分を認知されることで、 自分が少し広がっていく感じがする。 そして、自分は確かにここにいるっていうのを感じる。 俺は真っ暗な部屋の中でスマホの明かりを見つめながらそう思った。
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