有里沙①

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一人きりの部屋で二人分用意されたチキンを見ると、やるせ無さや悲しさが急に込み上げてきた。 私は涙を流しながら、チキンに齧り付いた。 涙は止まらず、嗚咽しながらチキンを2本とも食べ切った。 そして、二人で飲むために買った少し高いワインをグラスに注いで流し込むように飲んだ。 もう一度彼とやり直したいなんて思わない。 でも、あの2年間はなんだったのかなと虚無感に襲われる。 20代の貴重な時間を無駄にしてしまったやるせなさ。 友達と彼氏に同時に裏切られた悔しさ。 なんで私だけがどん底にいないといけないんだ。 私はスマホを手に取って彼とのやりとりを削除し、ブロックし、彼との写真を削除した。 先月、彼がレストランでプロポーズをしてくれた時に撮った写真。 「結婚しよう」 と言ってくれて素直に嬉しかった。 でも、それは誰かがこんな自分と一緒に生きていきたいと思ってくれたことが単純に嬉しかったのだ。 そんな自分も嫌になった。 私は仕事をする気も起きなくなってしまって、仕事を無断欠勤した。 ワインの飲み過ぎで頭がガンガン痛かった。 ベッドに潜ってネットフリックスと動画サイトを一日中見ていた。 次の日もその次の日も欠勤した。 課長から「このままだと、退職するしかなくなるよ」と連絡があった。 もう、それでもいいかなって思った。 何も考えたくなかった。 私は仕事を辞めて、しばらくアパートに篭って過ごした。
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