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1か月前の12月初旬。
いつも行くイタリアンのお店で裕太がトイレに行っていると、机に置いてあるスマホが震えた。
可愛らしい女の子のアイコンと「明後日、いけふくろうの前でどうかな?」の文字が、ぴょこんとスマホの画面に浮き上がった。
続く「ご飯食べて行こうね」の文字を目にしたところで裕太の姿が見え、急いでメニュー表に視線を落とす。
最近、仕事帰りに外で食べるのを提案すると、断られることが何度かあった。
2日後、職場を出て裕太にメッセージを送った。
「今日用事がある。ごめん」
ふう。
ため息をついた足は、自宅へ帰る駅とは違う方向に動き出していた。
池袋で降りいけふくろうを離れた場所から見ていると、裕太がやってきた。
すぐあとに、ふわっふわのピンクのコートを着たふんわりボブの女の子が到着する。
32歳にもなったら、あんな服着られないな。
並んで歩き始めた二人は南池袋公園の方へ向かい、近くのハンバーガーショップに入っていった。
建物の影に隠れて30分くらい待っていると、店から出てきた二人は腕を組んで、通り沿いにあるジュエリーショップに入っていった。
「そうなんだ」
二人の後ろ姿にぽつりつぶやいたあと、家に帰るため駅へと向かった。
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