14人が本棚に入れています
本棚に追加
俺が言葉を失っていると、くるみは焦れたように言った。
「あたしと一緒に創立メンバーになってって言ってるの!」
どうやら話が伝わっていないと思われたようだ。
「あの、俺理科部に入ってるんだけど……」
一応言ってみる。まあ、実際には廃部対策として名前を貸しているだけなのだが。
「何よ幽霊部員が偉そうに。それに拒否権なんてあると思ってるの? のぞ──」
「──はい、すいませんでした」
俺は早々に白旗を上げた。
幽霊部員であることもばれているし、ここで拒否でもしたらどうなるかわかったもんじゃない。
女子というのはやっぱり恐ろしい生き物だ。
「それで、部活って……」
新しく作るということは、当然うちの学校にはないクラブなのだろうが……。
「ああ。正確には同好会だけど」
いや、そういうことではない──が、無駄に刺激したくはないので慎重に言葉を選ぶ。
「ええと、つまり何部……いや、何同好会を……?」
誤解のないように訊き直すと、くるみは不敵に笑ってこう言った。
「恋愛同好会、よ」
最初のコメントを投稿しよう!