ここで会ったが運の尽き

4/4
前へ
/23ページ
次へ
 俺が言葉を失っていると、くるみは焦れたように言った。 「あたしと一緒に創立メンバーになってって言ってるの!」  どうやら話が伝わっていないと思われたようだ。 「あの、俺理科部に入ってるんだけど……」  一応言ってみる。まあ、実際には廃部対策として名前を貸しているだけなのだが。 「何よ幽霊部員が偉そうに。それに拒否権なんてあると思ってるの? のぞ──」 「──はい、すいませんでした」  俺は早々に白旗を上げた。  幽霊部員であることもばれているし、ここで拒否でもしたらどうなるかわかったもんじゃない。  女子というのはやっぱり恐ろしい生き物だ。 「それで、部活って……」  新しく作るということは、当然うちの学校にはないクラブなのだろうが……。 「ああ。正確には同好会だけど」  いや、そういうことではない──が、無駄に刺激したくはないので慎重に言葉を選ぶ。 「ええと、つまり何部……いや、何同好会を……?」  誤解のないように訊き直すと、くるみは不敵に笑ってこう言った。 「恋愛同好会、よ」
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加