始動

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「元・『校長室の応接セット』よ。新調するって話を聞きつけて古い方を譲ってもらったの」  くるみが得意げに言う。 「いや……」  そんな話はどこから聞きつけてくるのかとか、なぜ譲ってもらえるのかとか、どうやってここまで運んだのかとか、追及しようとすればキリがない。  めんどくさくなった俺はツッコミそのものを放棄した。 「うん、まあくたびれてはいるけど悪くないわね」  くるみは早速ソファに腰を下ろし、座り心地を確かめている。  かと思えば、次の瞬間にはもう、どこから取り出したのかノートパソコンを操作し始めた。  妙に真剣な表情だ。何をしているのだろう。 「校内サイトに特設ページを作ってるのよ。早速募集かけてみようと思って」  手元から顔を上げずにくるみが言った。  まるで俺の心を読んだのかというようなタイミングだ。  内心ぎょっとしたのはしれっと隠して、俺はくるみのの背後にまわり画面を覗き見た。
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