美人と美人……と美人

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原作と作画、そのことについて説明をするとトーマルはふむふむと納得したようだ。 「このことは公言しないでくれよ?」 「分かっているよ。ぼくは口が堅いんだ。でも女の子に問い詰められたらゲロってしまうかもしれないな!」 口を大きく開けて笑うこの友人は、昔から口を閉じて笑う方が優雅だと言っても聞き入れはしない。 「それで? どのジャンルの漫画なんだ? 分かった、少年漫画だろう!」 胸を張って言うトーマルだが、残念なことにそれは違う。 大方、花嵐の風体見てそう思ったのだろうな。 「あ、いや、その……、」 案の定醜男はしどろもどろとなり、やがて黙って俯いてしまった。 やはりBL漫画とは言い難いようだ。 「それは形になってからのお楽しみというやつだ。トーマル、野菜も食べろ」 シーザーサラダが盛られた器を差し出すと、真白の男はベッと舌を出す。 「野菜は好きじゃない。ぼくは動物性タンパク質だけで生きていく」 「駄目だ。ちゃんと食べろ」 むぅと不服そうにパリパリとレタスを食むトーマルは、それ以上漫画については触れてこなかった。 はぁ、どうしてこの私がフォローをしてやらないといけないんだ。 「……あ、ありがとうございます、」 ボソリと隣から聞こえてきたそれに反応するように目を向けると、花嵐が困ったように笑っていた。 別にお前の為なんかではないが、そうやって感謝されるのは悪くないかな。 程なくしてトーマルはこんなことを言い出した。 「も呼ぼうぜ!」 その名前に心臓がドキッと跳ねた。 が──ハルがここに来る? いつもなら嬉しいのに、今日は後ろめたさを感じてしまう。 何も言えないでいると、その間にトーマルはハルに電話をかける。 胸中に渦巻くモヤモヤを不快に思いながら隣の様子を伺うと、花嵐は一生懸命枝豆を食べている最中だ。……なんだかムカついたので机の下で、ヤツの足を力の限り踏みつけておいた。
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