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「そう言うカリンさんだって嫉妬したんですよね? おれ、嬉しいです」
ユラリとソータツの瞳に情欲の火が灯る。
「やっとおれのことを好きになってくれたんですね。今度こそおれたち恋人同士ですよね?」
彼の手がツツツと太股を撫でて私を誘惑する。
「……調子に乗らないでくれ。私のこれは自分の所有物が他者に気を取られるのが気にくわないだけだ。断じて嫉妬などではない」
「そうなんですか?」
「ああ、それを恋人などと。全く、お前は本当にオメデタイな」
自分でも素直でないと思う。
だが私は今まで誰にも媚びず、気高く生きてきた。築き上げたプライドは高く、易々と折れてはやれない。
「おれ、カリンさんの所有物なんですね。そんなの結婚じゃん、最高か!」
「結婚じゃない」
「セックスしてディープキスまでしたんですよ? 恋人を飛び越えて結婚でいいと思います」
「よくないね」
否定に次ぐ否定で返していたら、ソータツは不満そうに唇を尖らせる。
「おれとしては童貞もファーストキスもカリンさんに捧げたわけですから、お婿にもらってもらわないと納得いかないです」
……は? はぁあぁあ??
「童貞はともかく、ファーストキス? さっきのが?」
「あ、はい。流石に正気でない相手にキスはしたら駄目だと思って前は遠慮したので。……あの、なにか、変でしたか?」
絶句するしかない。
あんなに上手いのに初めてなのか?
私は初心者のキスにあんなによがってしまったのか? ありえない!
「あ、でも、カリンさん気持ち良さそうに──」
「ちょっと黙っていてくれるかな?」
「……うっす、」
色々とありえないことが立て続けに起こって、優秀な私ですらキャパオーバーだ。
……セックスのことは全く覚えていないが、もしかしてこの男は生まれつき性技に長けているのだろうか?
もしそうだとして──そうだ、それを知るのはこの私だけじゃないか。
「……つまりは、私の独り占め」
ボソリと呟いたそれはどうやらソータツには聞こえていないみたいだ。
ふふっ、少しだけ気分がいいな。
「それでは歌おうか」
「歌、ですか??」
「ああ、だってせっかくのカラオケなんだからね。私を楽しませるといいよ」
「しかもおれが歌うんですか?!」
「さっさとしろ」
ブチブチと何やら呟きながら端末の操作を始めるソータツ。
そうだ、それでいい。私に従順でいればそれでいい。
私のこれを"恋心"というのかは知らないが、無様なのであまり嫉妬をさせないでもらいたいな。
【終】
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