3人が本棚に入れています
本棚に追加
♯11
どうしたんだろう。いったい!!
突然、辺りは暗闇に閉ざされた。
部屋じゅうに墨汁を流したみたいな漆黒の闇が広がっていく。
「な、何……? どうしたの」
亜蘭が早口で訊いてきた。
「わ、わからないけど……、停電じゃないかなァ……」
天井の辺りを見上げ確認した。
停電なんて東北大震災の時と、数年前の台風以外、記憶にない。
「え、停電なの……」
亜蘭は不安げに尋ねた。
お互い心臓がドキドキしている。
知らぬ間に、亜蘭の唇が僕の頬に触れていた。
ギュッと亜蘭が抱きつくので少し痛いくらいだ。
「あ、あの……、少し力を弱めてくれよ」
息が止まるほど強く抱きしめられた。
「うン……、そう言えば、東北大震災の時も停電したねェ」
少しだけ力を緩めた。ようやく息がつける。
「あァ、あの時は、びっくりしたよ。信号も停まって、お巡りさんが手旗信号で車を誘導してたし……」
まるで別世界へ行ったような感覚だ。
☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*
最初のコメントを投稿しよう!