はじまりの事情

2/2
前へ
/39ページ
次へ
倫子が最初に行ったのはハローワークでした。 (求職件失業手当手続き等 に。) その次に行ったのが不動産屋。そう。買い物件契約した不動産やです。 「え?失業しちゃった、ですかぁ、」 感じ悪いこの受け付け女。 いや、担当者と言うべきか。 あたしとそんなに年変わらなさそうなのに。 「困っちゃったですねー。」 そーよ、困ってるわよ。 …いちいち喧嘩売られてる気になるのは何故でしょう。 「そうだ。ルームシェアなんてどうですか?」 …え? クソ女がネイルの指ヒラヒラさせて 「ほら、部屋余ってるでしょ?湯島さん、ひ・と・り・だし。」 うるさい。うるさい。うるさいわっ。 …でもそれ。 「募集してみましょ、ルームシェアします、て。湯島さんのの部屋は3LDKですから、そうだな、一部屋、月々四万とか。…うまくいったらローン楽になりますよ?」 …うん。 確かに。 「じゃ承りましたよ。メイトさん決まったら連絡しますね。」 どうも、…ありがとうございます、 アタマさげて帰ろうとしたとき、 「あ、…やっぱ女の子にしときます?同居人。」 はあぁ??? 「やー、いっそ男子にしとく方が何かと手っ取り早くていいかな、とか。欲しいかなって。」 はあああ??? 「…あ、はーい。やめときましょね。はぁい。女の子限定で、てことで。」 こいつこいつこいつこいつ………!。 いつか絶対殴ってやる。 いつか、いつかっ…。 そして、そいつから電話が来たのは四日後でした。 「あ、湯島さん、決まりましたよ。えっと、ハッタアイコさん、21才だそうですけど、…ワカイコって大丈夫ですよね?」 当たり前だっ!ほんといちいちムカつく女だわ。 「直接行ってもらいますので、はい。よろしくぅ。」 そしてやがて、 いつか、ピンポンが鳴って、 「アイコです。…こんにちは。」 もそもそと鞄ひとつで来たのがアイちゃんでした。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加