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その後、ふたたび
「意地悪してごめんね」
里保子はもう一度謝った。
玲子の腰から自分の体をゆっくりと離す。
彼女のショーツのバックから糸が引いてソファのタオルに垂れるので、里保子は何とも言えぬ興奮を感じた。
もう一度目の前の体に腰を押し付けてみたくなったが、玲子の憔悴があまりに辛そうでやめた。
胸にくたりと預けられた頭を柔らかく撫でる。
「だけど泣かなくたって。長く触りすぎて痛かった?」
「……苦しかったんです。里保子さん時々サディストになりますよね」
「可愛いんだもん」
「里保子さんが?」
「なんで」
玲子が笑った。
里保子は彼女の体を抱きしめ直し、ショーツの後ろをそっと触る。
「可愛かったからここ、けっこう汚しちゃった。ごめんね」
「気が付きました。途中からずっとそこ、あったかかったです」
「……そんなこと言わないでよ。また興奮するじゃない」
事実里保子はまた濡れた。
目の前の玲子のびしょびしょのショーツに再び腰を押し付ける。
上下に小さく体を揺らし、突然始めた自慰に近い行為に深く息を上げた。
玲子は黙っていた。触れてもらって達した自分と、自分を見るだけで達した里保子とでは、体に得られた刺激の大きさが全然違うことを理解していた。
「……んッ!」
里保子が短い声を上げ、反して二度目の長い噴水を放つ。
噴水といってもショーツは玲子に隙間なく押し当てられているので、なみなみと溢れる液体のほとんどは二人の体の合間で横の勢いを削がれ、代わりに縦の勢いを増した。
玲子のキャミソールの背中まで愛液は勢い良く飛び上がる。慌ててショーツを押さえようとした里保子を制するように、玲子は腰を少し後ろに上げて、彼女のショーツを塞ぐように強く押し当てた。
「ごめん……」
「大丈夫です」
玲子は後ろ手に里保子のショーツの横側を撫でた。
里保子は震えながら、結局最後の一滴まで玲子の体を借りて果てた。
かなり長い果てが終わる頃には、玲子の背中も腰も、着けているものすべてが色を濃く変えるほどに濡れていた。
里保子は彼女を後ろから抱き締める。しとどに濡れた脚の合間に玲子の腰を挟みながら言った。
「ごめんね。変態行為だわ」
「大丈夫ですよ。私も気持ち良かったです」
ツンと何気なくそう言い放った玲子を、里保子は今度は彼女の肩をぺしんと叩いて叱った。
その後やはり玲子は腰の力が抜けていて、うまく立てない彼女を里保子が両腕で支えながら、二人は本日二度目のシャワーを浴びた。
玲子は里保子の寝着を借りて、さらにその上から里保子にタオルケットを巻かれた。
リビングには冷房が効いている。午後九時だった。
すべてが済み、それは本当に突然のことであった。
玄関の鍵穴に鍵が差し込まれ、ゆっくりと捻られる乾いた金属的な音が、家中に大きく響いたのである。
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