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私にはもう判断は出来なかった。
時間だ、と慌てて面会室を出たのは覚えているが、署を出て外に出るまでは覚えていない。
春めいた風を何も感じず車まで私は歩き、乱暴にドアを閉めてすぐさま煙草に火を点けた。
煙にむせて、ハンドルを力任せに叩いた。
九百九十九本、飲まされたBさんはさぞ辛かっただろう。
しかしAさんはきっと、止まらない。
あと一本が終わるまで、許せないし、許さない。
この何とも言えない真実に私は、どうすればいいか──ただ、私はAさんと約束をしなくてよかったと、固く目を瞑るのであった。
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