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「……失礼を。私はこういう者です」  そう言ってアクリル板に名刺を押し付けて見せた。 彼女も前のめりにそれを読み、微笑んだ。 「蔀紘一(ツボミコウイチ)さん。記者の方。私は──と言います。会社員をしていましたが今は無職です。よろしくお願いします──何が聞きたいですか?」  Aさんは、ふわっ、と微笑んだかと思った瞬間、すっ、と冷たい目を作った。 戸惑う私を楽しんでいるかのように口元はにやけている。 しかし真っ直ぐに、私を見るではないか。  まだ会って数分、彼女にペースを取られたか。 いや……これもAとなった一つと考えられる要因と考えるべきか。 「……今回の事件──Aさんがした事の全てを聞かせてください」  Aさんは今まで黙秘を貫いていた。 しかし逮捕された時、状況も証拠も全て罪状の通りだった。
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