大神くんの言うことなんて信じない!

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 私は飛び出した眼球でメガネを内側から突き破りそうになった。 「はあ⁉︎ 今の流れでどうしてそう思うんですか⁉︎ 信じられない!!」 「いや、誰だってそう思うよね」 「思いません!!」 「っていうか付き合ってって告白したよね」 「してません!! 勝手な思い込みをしないでください!!」  私はゲンコツを振り回して怒った。 「大神くんのバカ! 嘘つき! もうあなたなんて大嫌いです!!」  私は屋上から出ていこうと(きびす)を返した。  すると、大神くんの手が私の手首をぎゅっと掴んだ。 「待って、高橋さん!」  ドキッと心臓が弾んで、私の体が一瞬上下したような気がした。  おそるおそる振り向くと、やや赤い顔をした大神くんが、犬のように可愛い瞳で私を見つめていた。   「な、なんですかっ?」 「あのさ……実は、俺……ずっと黙っていたけど、本当は高橋さんのことが好きなんだ! 俺と付き合ってください!!」 「……!」  真に迫った表情で手を震わせている大神くん。それを見た私は──。 「嘘ですよね。はいキタ、また嘘〜! もう信じないから!! さよなら!!」 「ええええええええーーーっ!!」  なんで⁉︎ と叫ぶ大神くんの手を振り払うと、泣きながら屋上を走り去った。 「ぐすっ……いくらなんでもあんな嘘つくなんて、ひどい……。本当は私、大神くんのこと好きだったのに……!」  もう何も信じられない。    その後、何度か大神くんの家に行って宇宙船を見せてもらったり、闘牛を倒した記念にもらったという牛ヒレ肉でバーベキューをしたり、バック宙からの土下座(ローリング土下座リバース)や窓から飛び込んできてスライディングからの土下座(フライング土下座ウインドウトゥーザアーススライド)などを100万回ずつ見せてもらい、ようやく私たちは少しずつ打ち解けた。  でも、大神くんが何度も言ってくれる「好き」だけは、何故かいまだに信じられずにいる。                 終わり
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