嵐は突然やってくる。

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「……守りたい奴がいるんだ、命に掛けてもな。 そいつの為に、どうしても薬がいるんだ」 青年は今まで見せなかった真面目な表情でぽつりと答えた。 「依頼遂行中に呪術を掛けられたのか?」 青年の言葉を聞いた大男は静かに剣を収めた。 「あぁ。 何度も解いてもらおうとしたが……ダメだった」 悔しそうに青年は下唇をかんだ。 「で、ここに辿り着いたのか。 誰からの情報だ?」 青年の表情を伺いながら、大男は淡々と質問をしていく。 「……それは言えない約束なんだ。 すまん」 そう言って青年は大男から目をそらした。 「……一つだけ教えて。 必要な事だから。 その人、何でそんな酷い目にあったの?」 二人の話を黙って聞いていた少女が口を開いた。 「……悪党討伐に行った時に返り討ちにあったんだよ……」 目をそらしたまま青年は言う。
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