嵐は突然やってくる。

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「おっかえり~娘~」 二人が倒れている青年を見ていると、大柄で体格のいい男が家から勢いよく飛び出してきた。 少女を持ち上げぐるぐると回した。 「お父(とう)!」 ぐるぐる回されながら少女は声をあげた。 「むっ! まだおったのか小童(こわっぱ)!」 大男は転げている青年をみて威嚇した。 そして、少女をそっと置いた。 「弱いモン、いじめるんじゃなーい!」 青年を軽々と拾い上げ少女は大男に捨て身タックルをかました。 「あうち!」 大男は鈍い声をあげ吹っ飛んだ。 青年を抱えたまま少女は奥の間へと去っていった。 *** 「目覚めないのん。 父君の技、もろ食らったからだのん」 ベッドの上でうなされる青年を、小さな女の子は心配そうに覗き込んだ。
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