710人が本棚に入れています
本棚に追加
「ねっっっみぃ……」
「彩、ここ、教室」
「眠いものは眠いんですよ葵サマ」
「様づけはやめてって言ってるのに…」
「まぁまぁ、彩にも体裁というものがあるからね」
俺、式部彩は極度の眠気と必死に戦っていた。原因は言うまでもなく、役職の仕事。生徒会副会長の忙しさは伊達じゃない。
「だから僕が手伝おうかって言ったのに」
「仮にも主に仕事を回せるわけないじゃないですか」
「仮にもってなんだい仮にもって」
「仮にも主に仕事回せるわけないじゃないですか」
「二回言った、だと…!?」
「翠、うるさい」
葵が翠を黙らせ、そのまま席に連行する。と言っても二人は“五色”、俺は“式部”なので席は近い。というか翠と前後だ。
座ってからもちょっかいを出してくる翠を適当に、世間体は気にしつつあしらう。眠いんだよこっちは。
俺が寝落ちる前に、五色と式部、そしてこの学園について説明しておこうと思う。何故様づけで呼び呼ばれているのかなど、いくつか疑問があると思うから。
最初のコメントを投稿しよう!