1.はじめましてのプロローグ

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まず、五色について。五色家は、この国随一の名家である。五つの属性を司るこの家は、どの業界にも莫大な影響を及ぼす。腕利きの術師を多数抱えており、表どころか裏社会にも睨みを利かせている為、逆らおうとするのは余程の馬鹿か自殺志望者くらいだ。で、俺たちが通うこの学園、聖黒薔薇学園も五色の管轄である。ところで俺は、この名前の趣味の悪さはどうにかならないだろうかと常々思っている。黒薔薇って何だよ。厨二病か?そんでもって、男子校に薔薇(BL)をつける意味をわかっているのか?しかも全寮制だ。多分予想できると思うけど、理事長兼五色家の当主サマは男色家である。くそったれ。 ……話が逸れた。次に、式部について話そう。式部は、代々五色家に仕える、所謂従者の家系だ。かくいう俺も、五色家の執事である。そして、この国で唯一()の属性を扱える一族でもある。《無》は血統でしか発現せず、故にあまり世間からは認知されていない。都市伝説みたいなものだ。 ついでに、属性の話もしよう。さっき言った通り、主な属性は五つ。火、水、木、光、闇だ。+αで無。ゲームとかアニメとかでよくある奴を想像してくれれば良い。属性は、一人の人間に一つ。さっき出てきた葵と翠は、それぞれ水と木だ。しかも五色の血統か、術の精度が異様に高い。つまり、めっちゃ強い。 最後に、俺個人と五色について。間接的に仕えているのは五色家の当主サマだが、直属の主は六人いる。多すぎるんだよな俺だけ。 火を操る、五色(アカネ)。 水を操る、五色葵。 木を操る、五色翠。 光を操る、五色琥珀(コハク)。 闇を操る、五色(スミレ)。 そして、五色朔真(サクマ)。彼についての話は、また後ほどにしよう。 ともかく、俺は六人の主のお世話と護衛を任されている訳だ。とは言っても、年齢的には高校生。役目は学園に通いつつ、彼らを見張りッゴホン、見守るくらいである。 これで大体は理解できただろうか?最後に、俺は“白薔薇姫”とかなんとか呼ばれているが、大変不本意であることはここに明記しておく。 では、おやすみなさーい…
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