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5.洋介、計画のほころび
カメラの向こうには、テーブルに大皿の料理を盛り付け始める母が映っていた。
「洋介。そっちは立派なホテルなんだろ? さぞかし豪勢な料理が出るんだろうなあ。中華に寿司に、ピザなんかも出るんかね?」
もはや父の言葉はプレッシャーでしかなかった。
「ご、ごめん! いったん映像消えるから!」
カメラをミュートした俺は、スマホを滑らせまくった。
どんな料理が出るかを調べたかったのだが、ページの読み込みが半端なく遅い。うちの貧弱なネット環境に、カメラ2台分の通信が重すぎた。
検索を諦めた俺は、テーブルの上に放置していたチラシを漁った。
『北京キッチン』『がんこ寿司』『ピザランド』。デリバリーを頼めそうなのはこの3つ。俺は電話をかけまくった。
「20分でお届けします」
「いまちょっと注文が混みあってまして、35分でお願いします!」
「10分でお届けできるっす」
到着時間は見事にバラバラだった。
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