月と太陽と僕ら

プロローグは突然に。

僕は校門の前に立ちつくしていた。
電灯が光り輝く。
今日。
僕の前にはただ平坦な日常が広がっているだけのはずだった。
今日。
僕はいつも通り授業を受けて、
愛想笑いを貼りつかせて、
弁当の輪に苦労して入れてもらって、
後悔しながら家路に帰るはずだった。
数時間後のことは手に取るようにわかっていた。
…が。

「ガァァァア」

奇声をあげて飛びかかるクラスメイト。
そして彼女を庇おうとして勇気が足りず逃げていく男子生徒。
腰が抜けてへたりこんで泣いている女子生徒。
混じり合う奇声と怒号。
あれは…いわゆるゾンビ？
暗い中、夜目のきかない僕には奇声ばかりが聞こえてくる。
10分遅刻した僕ときちんと間に合った彼らの間には校門という大きな鉄の柵があった。