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目が覚めると、そこはちょうど降りる駅の二つ前だった。
外は暗い。
『太陽が消えてから1週間』
向かいの人が読んでいる大きな見出しが目に入る。
もうすぐ僕らは死ぬのかもしれない。
そう何度考えたことか。
だが、何もない。
いつも通りの日常が永遠と続いていくばかり。
大人たちは皆、『明日の自分に任せる』と言う。
騒いでいるのは一部の人達だけ。
テレビに出ている学者や教授の目の下にクマがあるのを
見て見ぬふりをする僕らは
何ら法律に触れていなくても犯罪者と同等である。
「次はー東神岡ー」
あぁ。このまま駅に着かなければ良いのに。
そんな僕の願いも虚しく電車はホームへ滑り込んでいく。
ピコンッピコンッ
電車のドアが開く音が暗いホームに響く。
年季の入った蛍光灯がパカパカと点滅する。
僕は電車から降りた。
ホームの階段を駆け上がり、灯りを反射する改札を抜ける。
夜空には雲一つ無い。
星がちらほら見えるけれど夜空の象徴とも言える月は無い。
僕は走るのを辞めて歩き出した。
どうせ間に合わないならゆっくり歩けばいいさ。
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