10分は意外にも大きく長い。

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目が覚めると、そこはちょうど降りる駅の二つ前だった。 外は暗い。 『太陽が消えてから1週間』 向かいの人が読んでいる大きな見出しが目に入る。 もうすぐ僕らは死ぬのかもしれない。 そう何度考えたことか。 だが、何もない。 いつも通りの日常が永遠と続いていくばかり。 大人たちは皆、『明日の自分に任せる』と言う。 騒いでいるのは一部の人達だけ。 テレビに出ている学者や教授の目の下にクマがあるのを 見て見ぬふりをする僕らは 何ら法律に触れていなくても犯罪者と同等である。 「次はー東神岡ー」 あぁ。このまま駅に着かなければ良いのに。 そんな僕の願いも虚しく電車はホームへ滑り込んでいく。 ピコンッピコンッ 電車のドアが開く音が暗いホームに響く。 年季の入った蛍光灯がパカパカと点滅する。 僕は電車から降りた。 ホームの階段を駆け上がり、灯りを反射する改札を抜ける。 夜空には雲一つ無い。 星がちらほら見えるけれど夜空の象徴とも言える月は無い。 僕は走るのを辞めて歩き出した。 どうせ間に合わないならゆっくり歩けばいいさ。
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