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香帆にあの日の朝、自分の性癖に釘を刺されて以降悶々とした日々を過ごすことになった。
性癖の再燃のきっかけでもある将斗とは、
将斗から定期的にメッセージは届くものの、
香帆からメッセージを送ることは無くなっていた。
しかし一度燃えはじめた性癖はなかなか収まらず、
寝取られ寝取らせ系サイトを読み漁った。
そして妄想を香帆とのセックスにぶつけていた。
香帆も流石に僕の変化に気づいているのだろう。
回数も少し激しさも増していくセックスを「これで亮くんが収まるなら…。」と考えてか黙って受け入れてくれていた。
そんな香帆の気を知らずか、受け入れられる度に溢れるほど大きくなっていく自分の欲望。
そんなある日…。
下の子供の幼稚園の見送りに同行した時のこと。
園の駐車場に着くなり香帆が口を開いた。
「あの人…熊沢さんよ。」
目の前には腰を屈め女の子の手を引く、大柄だが優しそうな中年の男性の姿が見えた。
「えっ?」
「ほら…あの…芽里ちゃんのパパ……。」
「あぁ!番号交換したっていう?」
「…ぅ、うん…。」
娘を連れ、僕らも園の方へ歩いていく。
ちょうど熊沢さんが娘を園に預け戻ってくるところだった。
「あっ!長峰さん!おはようございます。」
妻と同時に僕の方へも会釈をする熊沢さん。
太く落ち着いた太い声とニコッとした笑顔が印象的だ。
「おはようございます。芽里ちゃん今日は泣かなかったですか?」
妻が声をかけた。
「ありがとう。今日は長峰さんところのリカちゃん(娘)と遊具で遊ぶ約束してると喜んで登園しました。お陰で助かりましたよ。」
「そうなんですか?ふふふ。お役に立てて良かった。」
「リカちゃんうちの芽里と仲良く遊んでね。では失礼します。」
しっかりリカの目線まで屈んで娘に声をかけ、
再度僕にも会釈をし、駐車場に戻っていった。
「感じのいい人だね。」
「そうでしょう。なんでお1人なのかが不思議なくらいよね。」
噂では奥さんはおらず1人で娘さんを育てているとのことだった。
「ちょっと先生に聞きたいことがあるから退屈なら先に車に戻ってて。」
そう言われ駐車場へ戻ると、ちょうど熊沢さんが車の前で仕事の電話を切るところだった。
「うちの妻がいつもお世話になってます!」
「いえいえ!こちらこ!男1人なものでわからないことだらけで!奥様にいつもいろいろ園のことや子供のこと教えていただいてます。」
「妻からもよく熊沢さんの話を聞いてます。」
「えっ?私の話をですか?」
「はい。素敵な男性で思わず連絡先を交換してしまったと。」
突発的に口から出た嘘に自分でもビックリした。
「ぇえっ!?私のことですか!?」
狐に摘ままれた様にビックリした表情の熊沢さん。
「はい。」
にっこりしながら答えた。
「…そ…そりゃ嬉しいな…。」
大きな顔を真っ赤に染めて喜ぶ大男。
「今度うちに遊びに来ませんか?」
「えっ!いいんですか?」
「えぇ。きっと妻が喜びます。」
妻には内緒にと熊沢さんに伝え、週末に招待することとなった。
帰りの車内……… 。
「もの何かいいことでもあった?」
「ん?まぁね。そういえば週末だけどさ。お客さん来るから夜空けておいてね。」
スマホで熊沢さんに詳細を送りながら、運転席の妻に目を向ける。
流し目でこちらを不思議な表情で見る妻。
視線を正面へ向け、「変な人。」と言い微笑む。
熊沢さんと香帆か………。
ハンドルを持つ真っ白な左腕の二の腕と、その向こう側にある美味しそうな胸の膨らみが見える。
崩れたアスファルトの上を走る車の振動に合わせ妖艶に揺れていた。
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