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奪われる香帆の唇
「なんか私だけ恥ずかしい思いして不公平な感じがする。」
香帆が口を開く。
「それは確かに言えるね。」
「何か無いかなぁ……あっ!でも…やっぱりなんでもない。」
話しかけたが両手で口元を押さえる香帆。
「なんですか?お酒も入ってるし何でも聞いてくださいよ。」
「じゃあ……熊さん普段は夜の生活の方はどうしてるんですか?」
遠慮がちに爆弾を投下する香帆。
「……それはまた答えづらいですが、もちろんお相手なんていませんから1人で済ませてますよ。」
「それこそアダルトビデオとかネットでですか?」
熊さんにはグイグイと攻めていく香帆。
「その辺は私潔癖なので好意や尊敬がない人では対象にならないんですよ。……なので身近な方を想像してって感じですね。」
「そうなんだ。」
聞いておいて顔を赤らめる香帆。
「身近な人って会社の人とかですか?」
「いえ。会社はもう女性は50代前後の女性が1人2人ですから……。」
おっ……これは?……。
「ってことはあとはもう…幼稚園じゃないですか。幼稚園のママさんだと誰と話したりするんですか?」
俺は確信犯で聞いていった。
「…ぁっ……いや…それは…………。」
言葉に詰まる熊さん。そして耳まで紅潮し始める香帆。
そりゃそうで、熊さんは幼稚園では僕らと付き合いが始めて今までほとんど挨拶以外は香帆や僕としか話していないのだ。
間接的にうちの香帆をオカズにオナニーしていると言ったのと変わりがないのだ。
沈黙が続く。
「えーっ……とぉ……たっくんの恥ずかしい話は?」
苦し紛れに香帆が口を開いた。
答えは決まっていた。
「俺は香帆が他人とセックスして欲しいって性癖があることかな。」
香帆は固まりさらに顔を真っ赤にし目が右へ左へと何回も泳ぐ。
しばらく再び沈黙が続いた。
熊さんは香帆を想像し自慰行為をしていることが判明し旦那は寝取られ性癖を暴露した。
あとは香帆の気持ち次第という状況。
香帆が熊さんに好意を寄せているのは、間違いない。
あとは香帆の貞操観念次第だ。
ここで熊さんが正座で身を狭くしている香帆の上半身を抱き寄せた。
勢いで脚は横に崩れ、上半身は熊さんに寄りかかる格好になった。
「すみません。そんな顔をさせてしまって。」
香帆は肩を引き寄せて身を固めたまま、
「…………ぃぇ。」
と消えいるような声で囁く。
熊さんは顔を起こし手の甲に毛の生えた厚みのある両手で、香帆の頬を包んだ。
「いいですか?」
熊さんの手の間でゆっくりと目を閉じた香帆。
唇は震えていた。
熊さんは香帆の目から視線を落とす。
縦に筋の入ったぷっくりとした唇を見つめ、右手の親指で拭うように香帆の下唇を歪ませる。
そしてゆっくりと自身の唇を近づけていく。
あぁ………奪われる。
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