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深夜の2時過ぎ。
私はひとり、月明かりの下を歩く。
冷たい風が服の隙間を通り抜けて、思わず身震いをする。
自分のローファーの音。
一定のリズムを刻む呼吸の音。
水路に流れる水の音。
それくらいしか聞こえてこない。
建物すら眠っているように感じる。
3年間、歩き続けた道のはずなのに。
まったく知らないモノのように思えるのはなんでなんだろう。
ようやく、目的の場所へとたどり着く。
私たちは昨日、この高校を卒業した。
――そして今日、この場所と永遠にサヨナラする。
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