誕生した私と姉

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誕生した私と姉

「……………」 「お母さん!産まれましたよ!」 私は無言で誕生した。 生まれた頃から大人しかったんだなぁと今は考えられる。 私の名前は八代優美(ヤシロ ユミ)。 八代という苗字は珍しく…周りに八代さんはあまりいない。 そのせいか、私は苗字をからかわれることがよくあった。 例えば… 「八代優美です。よろしくお願いします」 「お前、八代なの?じゃあ八代目だから足利義政だぁぁ!‪w‪w‪w」 いや、何で足利義政?理論が分からん。しかも、普通にええ人やん。 そんな、超偉人の名前を私に付けるなって。 申し訳ないから。 まぁ、こんな感じであだ名は義政だった。 だから苗字は嫌いだったけれど…(呼ばれる度に、申し訳なさを感じた…)名前は好きだった。 優美の意味。『優しく美しい』ただそれだけ。でも、そんな優しくて美しい人になって欲しいと付けくれたことに対し嬉しかったし、親の期待に応えられるよう頑張ろうとも思えた。 そんな私がなぜ無言で生まれたのか分かるだろうか? それは、簡単だ。 私が死にそうだったからだ。 死にそうだったのにも理由がある。 実は、私には愛美(エミ)という双子の姉がいる。 母親のお腹の中に2人でいた。 だから、母親から来る栄養を奪い合いだったのだ。そして、私は姉に負け…栄養失調で死に際のまま生まれたのだ。 姉はこの頃からマイペースだったと思える。 「私、先に行ってくるわ」 そう言って、軽く生まれたに違いない。 そこから、姉を産んで体力が限界に近かった母は無理矢理私も産んだのだ(最初は…母は私を諦めようとしていたらしい…) 生まれた当初から私は誰にも好かれていなかった。 私は栄養失調だったため、しばらく入院したのだ。そのため、スタートダッシュに遅れた。 祖父母は先に生まれて退院した姉を可愛がった。 父や母も元気な姉を可愛がった。 もし、この頃の私に物心があったら私は寂しさと悲しさで家族と縁を切っていたのかもしれない。そのぐらい、家族から好かれていないのはキツかった。 私と姉は全く似てない。The☆二卵生だ。 まとめてみるとこんな感じ。 (姉)勉強◎運動△見た目△マイペース、意外にやる気が高い、時間にルーズ (私)勉強○運動✕見た目○責任感強い、めんどくさがり屋、でもしっかりしてる 私の方が性格はお姉ちゃんっぽいだろう。面倒見が良くて、しっかりしていて責任感も強い()しかし、姉の方が能力に優れていた。勉強も運動も何もかも勝っていた。私はいつもギリギリ勝てなくて…それが悔しいと感じた。 私達の双子っていう存在は、親友以上姉妹未満って感じだ。 時にはライバルになるようなそんな存在だろう。 だからといって、姉が“嫌い”という訳では無い。普通に話は合うし、仲良いし…嫌いって訳では無いけれど…時には嫌だと感じるときがあるのだ。
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