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取りあえず、と5着選び、担当の女性に伝える。
鈴音さんは、カーテンの向こうに消えていく。
「どれから着てくるかしら?」
「どれでも似合いそうですね。」
また二人で、イヒヒ、と笑う。
「佐々木さん、ありがとうね。」
「ん?」
「楽しいし、嬉しいわ。人生でトップ3に入るくらい。」
俺は微笑む。
「誘ってよかった。」
おかみさんが俺の顔を見て、首をふる。
「今日だけじゃないの。佐々木さんが現れてからずっと。鈴ちゃんの幸せが戻ってきてからずっと。」
俺はおかみさんのまっすぐな目を見つめながら、涙が込み上げるのを感じる。
「おかみさん、そう言うことは泣いてもいい場所で言ってください。」
おかみさんが豪快に笑う。
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