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その後も、何度か「モーセさんですか?」と声をかけられることがあったが、相手が知りたがるのは、おかみさんのことだった。 「叔母さんは気にしてないよ。」 と鈴音さんが言うとおり、おかみさんは騒がれても、写真を撮られても、いつものおかみさんだった。 そのせいか、詮索する人は減っていき、いつの間にか、日常が戻って来ていた。 「もともと、悪口じゃなかったからね。」 おかみさんが言う。 確かに、批判から始まった騒動だったら、もっと違う事態になっていたかもしれない。 俺は改めてゾッとし 「おかみさんのお陰です。」 と頭を下げた。
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