1

3/4

71人が本棚に入れています
本棚に追加
/24ページ
あの日、駅前のロータリーで大きな事故があった。 駅から出る人と、事故現場を眺める人でごった返し、俺は改札からロータリーまでの短い距離を、人に揉まれながらジリジリと進んでいた。 スマホの充電を切らし、恋人の鈴音さんに連絡が取れないまま時間が過ぎていた。心配した彼女は駅前に駆けつけた。 雨の中、傘もささずに俺を探す鈴音さんを見て、いても立ってもいられなくなった。 無理矢理ロータリーに出ようとする俺を見て、『知り合いが事故に巻き込まれたのでは?』という誤解が広がり、皆が道を開けてくれた。 声援を受けながら、俺はロータリーに駆けだしていった。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

71人が本棚に入れています
本棚に追加