【 第10話: がんばれ! トイレットロボ! 】

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【 第10話: がんばれ! トイレットロボ! 】

「私が、お仕置きしてやるぅーーっ!!」  そう言って、左右のハンドルを使い、丸型ロボののこぎりの細い腕を引き千切る。 『ガガガッ……、ブチンッ!』  そして、至近距離からその丸型ロボを右足で大きく蹴り上げる。 『ボォン……!』  丸型ロボは、天高く蹴り上げられ、私の両肩にある機関砲の餌食となる。 『ババババ……、ズガァーーン!!』  丸型ロボは、見るも無残にバラバラとなり、森の中へと落ちて行った……。 「や、やった……。私……、勝ったんだ……」  私は、この絶体絶命の危機を脱し、ホッと胸を撫で下ろしていた。  すると、姉がまたモニターに映り、こう言う。 『フタミ、あんた、才能あるじゃん♪』 『南条さんの妹さん、すごいですね……。初めての操縦でここまでやるなんて……』  二人は、私のこの追い込まれた状況を理解していないようだ……。  どれだけ私が、怖かったか……。  どれだけ得体の知れないものと闘っていたか……。 「はぁはぁ……、これは一体どういうことなの……。ヒトミお姉ちゃん、説明して……」  すると、姉はしれっと、こう言ってのける。 『ああ、ごめん。私たち、悪いロボとかの退治する警備ロボ部隊なの。それで、私の代わりにちょっとフタミに行ってもらったって訳』 「な、な……、私、死にかけたのよ……。大体、何でこんなトイレみたいなのが、警備ロボなのよ!?」 『うふふっ……、あのハゲ田さんのおっさんに頼んどいて正解だったな。このロボの入口まで誘導してもらうつもりだったんだけど、フタミったら、おしっこしたくて、自分から率先してロボに乗り込んじゃうんだもん。ははは……』 「あ、あのハゲおやじとグルだったの?! 二人で騙したなぁーーっ!」 『あんた自分で勝手に赤いマークのロボの入口に入って行っちゃったから。ひょっとして、あんた飛行機にある「LAVATORY(洗面所)」と、このロボの入口の名前「LABORATORY(実験室)」と間違えたとか……?』 「な、な、な……、そ、そんなことないっ! 私は、単純におしっこがしたかっただけなの!!」  私は、変な形の赤いマークも、入口の英語も勘違いしていた……。  よく考えれば、こんな頑丈な扉のついているトイレなんて、あるわけがない……。
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