囁く

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囁く

毎晩妻は俺の枕元に現れるようになった。 そうしていつも恨み言を繰り返すのだ。 あの時あなたはああ言ったわね、あの時も助けてくれなかった…と。 幽霊なのは分かっている。 が、ただただ腹立たしかった。 妻のくせに。 「いい加減にしろ!」と三日めに怒鳴りつけた。 すると部屋の暗闇が段々蒼白くなっていった。布団をかぶっていてもわかるほどに。 そして次の瞬間、 「私はあなたの持ち物じゃない!」今まで聞いたことのないドスの効いた声で怒鳴りつけられた。 「私はね!恨んでんの!あんたが死ぬまで枕元で恨み言を言うからね!」
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