君と素直へ一直線

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いくら男同士のこととはいえ、それを気に病んで母親に言うなんてことは多分ない。 むしろ彼くらいの年齢なら隠そうとするだろう。 「この前家で4人で飯食った時、なんか臭うなーと思ったんだよ」 「こええよ。心霊か」 「違う違う、そういうのじゃなくって。雰囲気打ち解けてんなーって。男同士とはいえ……なんかお互いが居て当たり前、みたいな?どんだけ深い話したんだろうって気になって」 親父は、現母さんが居ない時間を選んだようにしか思えなかった。 「まっ、親抜きの方がいい事って、お前らには多いだろうしな」 親父はテレビから振り向いて俺にニカッと笑った。 そう、こういうあっけらかんとしたところが逆に、怖い。 親父には全部見透かされてる気がする。 初めてオナニーした次の日も、ビデオとか見てないのに親父は、「貴彦も大人になったなぁ」って言ったんだ。 今回も、それと同じ事のような気がするのは自分だけだろうか…。 レオくんは真面目な大学生だ。 でも最近彼女と別れたと聞いた。 原因が俺のせいじゃなければいいのだが、と思いつつも、相反する思いが内側でグルグル暴れる。 男性が俺の性愛対象だということは、親父も知らない。 もう28だというのに、仲間を探しに二丁目に行こうとしたことすらない。 要するに勇気がない。
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