半分の指

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 それをじいちゃんはわざと、犬に喰われてしもたん、って犬っころごめんな笑い話に変えたん。 もう私の想像でしかないとけど、戦った時か争った時のどっちかで──痛かったんやろな、って真実? 知った時は哀しくなってしまった。  多分じいちゃんは、話したくなかったんだって、思った。 今でも思うし、そういう人達はいっぱいいるんだろうなって、思う。 もちろん伝えてくれる人も、今は少なくなってきてると思うけど、ありがとうって、思う。  でも、じいちゃんみたいに嘘つく人がいていいと思うの。 話したくない人がいて、いいと思うの。  だって私、これ以上の優しい嘘つきに出会った事ないもん。
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