半分の指

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 じいちゃんは親指が半分なかったんよ。  まだ私が小さい頃、じいちゃんは言ってたんやけど。  犬に喰われてしもたん。  えっ、て思ったし、犬怖っ、って思った。 でも家で犬を飼ってたから、ん? って思った。  ある日、小学校ん時の夏休みの宿題で、じいちゃんばあちゃんに戦争について話を聞いてきてね、っていうのがあったんやけど、多分多くの人が似たような宿題やらにゃいけんかったとやなかったかな。 当時は、はーい、なんて軽く言っとったけれど、今となっては、とんでもない宿題だったなって、こう、胃らへんが、むかっ、とすんね。  果たして、じいちゃんは戦争の話をしたかったとかなって。  私が知っとる戦争は辛くて、悲しくて、痛くて、二度と起こってほしくない出来事って事。 戦争が終わった何年も後でも、怪我や病で苦しんだ人がいるって事。  私が知っているじいちゃんは、戦争に行った事があって、寒い土地で捕虜になってしまって、そんな事があったもんだから冷たいものしか食べれなくなってしまって、何でも冷蔵庫で冷やしてからご飯食べよったって事。  その戦争の時に、指が半分なくなってしまった事。
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