人生の穴場

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 ところが意外なことに翌日、採用を知らせるメールが届いた。  面接も免除で、すぐにでも勤務を開始してほしいとのことだった。  島にアクセスするための電子航空券までメールに添付されている。  出発日は……なんと一週間後。  急転直下の知らせに慌てて、パスポートの申請に走った。  取得費用は経費として返ってくるらしいが、立て替えられるだけの手持ちがあったのは幸いだった。  あとは現地で生活に必要なすべてを用意してくれるため、身ひとつで最寄りの空港まで赴けば良いらしい。  離島なので携帯の電波も届かないと記されていたが、どうせ連絡を取るような相手はいないし、暇つぶしのSNSにも飽き飽きしていたところだ。  こうして一週間後、真新しいパスポートを手にした俺は、見知らぬ辺境の異国へ飛んだ。  飛行機を降りると、海はもうすぐそこだった。  迎えに来た小型のオンボロ漁船に乗り込むと、心地よく乾いた南風が頬を撫でた。  空港のある本土でさえ牧歌的な大自然が広がっていたが、船に乗ってしまえば、いよいよ朴訥(ぼくとつ)とした大海原しか目に入らなくなった。  見上げれば、曇りなく澄んだ青空。  船を駆動させているエンジン音の向こうで、優雅に羽を広げて飛び交うカモメの鳴き声が響き渡っている。
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