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間にはまるいプールのような海が広がっているので、直線距離で向かうことはできない。
仕方なく俺は、島の外周に沿ってのろのろと歩きはじめた。
それにしても、喉が渇いた。現地ですべて用意してくれるということだったから、道中の飛行機で出されたミネラルウォーターは捨ててきてしまった。
島だから周りは水には囲まれているものの、当然ぜんぶ海水だ。そのまま飲めるはずもない。
それならせめて、なにか果物は生っていないか辺りを見渡してみる。
島の恵みは無料という契約だったが、この島の樹木に果実らしきものは見えない。海に接しているということは、塩がきつくて実らないのではないか。
ここに来て、嫌な予感が膨らみはじめた。
このまま誰にも会えずひとりで放置されれば、サバイバル能力など持ち合わせていない俺はすぐに死んでしまう。
そう、温暖な島とは聞いていたが、実際のところ暑すぎるのだ。冷房に慣れた現代人にはきつい。
紫外線が実体をもって突き刺してくるような炎天下で、俺はハァハァと息を漏らした。
太陽が猛威を振るうだけの時間が過ぎていく。吹き出した汗が止まらない。
身に着けていたタンクトップやズボンは、体内にあったはずの水分でぐっしょりと濡れて、鎧のように重たかった。
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