邂逅

3/4
前へ
/14ページ
次へ
どのくらい時間が経ったのだろうか… ふと窓から外を覗くと日が昇り始め、辺りは明るくなっていた。 時計に目をやると午前5時10分を指していた。もう朝か。残業は終わりを迎えていた。 机の上を片付けようとしたその時、事務所の扉がゆっくりと開いた。 今日は土曜日の筈だが一体誰だ?と、思いを巡らせながら扉の方へ視線を向けると、1人の女性が入り口に立っていた。 「先輩!朝までお仕事お疲れ様です!」 開口一番女性はそう言った。 暗くてよく見えないが、目を凝らしてよく見てみると、同じ部署で働く3期下の後輩の姿がそこにあった。 名前を 鵜崎 可奈 という 「今日は土曜日だぞ。何かトラブルでもあったのか?」 「いえ、先輩が残業されているそうだったので、お腹空いてると思って、お弁当作ってきました。」 そこまで親しくない仲の筈。そこで俺は、ここ数日の記憶を遡ってみることにした。 だが、俺の記憶の中には仲良くなるような会話すらなかった。 確かなことといえば俺と彼女は特段仲が良いとはいえないことだけだ。 しかし、彼女は弁当を作ってこんな朝早くに持ってきたというのだ。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加