film one

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film one

男は真っ暗な部屋に横たわっていた。 何度叫んでも返答がない。 息切れした彼は、真っ暗闇の空間に男は自分の人生と照らし合わせていた。 何も見えない未来。 何度助けを求めても結局は自分自身の人生。 幾ら信頼していた友人でさえ自分の事で精一杯の人生。 心の奥ではより良い人生を望んでいるはずなのに 現実で起きる事は、いつも自分にとって自分を苦しめる事ばかり。 もしかしたらこの空間よりも、自分の人生よりも 地獄の方が明るいのかもしれない。 男は自然と溢れた涙に、体を起こし右手で溢れ出す涙を拭きとろうとした時だった。 右手に何か硬い物が当たった。 手探りでその何かの正体を探る。 その正体は、カメラだとすぐに気づいた。 何故こんな所にカメラが? その疑問と同時にある人物の言葉が脳裏に蘇った。 「写真って物は不思議なもので、カメラを向けると人は何故か笑顔になる。僕にとっては写真なんてものはなのに・・・。」 友人の言葉だ。 彼はいつもシャッターを切る時に哀しそうな表情を浮かべた。 その理由を聞くと、友人はカメラを見つめてこう言った。
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