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「どんなに綺麗な景色も、素晴らしい笑顔も。必ずシャッターを切る時に一瞬暗くなるだろう?それってさ。その瞬間瞬間を閉じ込めてるのに。」
凄い事じゃないか?それって。
「あぁ凄い事だけどさ。カメラを向けると皆幸せそうに笑顔になる。でもなんだか同時に寂しさが込み上げてくるんだ」
ハハ、変わってんな。
「もしもこの先哀しい事が起きて。この笑顔の写真を見て。俺達はどう思うのかな?」
そりゃあ懐かしむだろ?
「そうかな?そんなものなのかな?」
そんな物だろ?お前はどう思うんだ?
「俺か?俺はな・・・。」
男は、手に取ったカメラの電源を入れて
撮影された写真をスライドしていく。
多くの自分達が過ごした日々、沢山の笑顔。懐かしい景色に場所が映っていて。
またも自然と流れ出す涙。
懐かしむだろう?懐かしむ。けれど何だろうこの感情は?
男は、友人に問いかけた時の写真に辿り付いた。
そこには、自分と当時付き合っていた彼女が照れくさそうに笑っている写真。
それを見て込み上げてくる何か。
深い深い心の奥の何かが体中を駆け巡り込み上げてくる。
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