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真っ暗だった部屋に明かりがついた。
余りの眩しさに瞳を閉じゆっくり瞼を開くと、扉の向こうに立っていたのは
先程思い出していた友人。
友人は微笑みながら唖然としている自分に拍手を送る。
何が起きているのかわからない自分に友人は手に持っていたビデオカメラで
収めたある動画を再生し始め口を開いた。
「カメラと言うモノは、どうして過去しか残さないのだろうな」
ビデオカメラから再生される叫び声が、すぐに自分の物だと気づき問いかけた。
目的はなんだ!?何故俺を閉じ込めた!?
すると友人はビデオカメラで再生されている真っ暗闇の動画を見つめ
あの頃と同じ様に哀しい表情を浮かべた。
「美しい物ばかり収めてきたら、それを振り返ると哀しくなってきてな。だからどうせ撮るならもっと満足出来る物が撮りたくなったんだ。」
・・・だからって。監禁して。下手すりゃ犯罪だぞ!?
「君だって味わえただろ?過去を閉ざし未来を切り開く為の一歩を。」
何故だろうか。その言葉に説得されている自分がいた。
あの笑顔を思い出そうと写真を撮った瞬間。
何処か心地よい気分になったのは確かだった。
「これは偉大なる実験だ。多くの苦しむ人を救えるかもしれない。」
確かにそうかも知れない。でもやり方は間違ってる。
言葉に出そうとしたが、友人は続けた。
「この空間で何を想い、何を欲した?お金か?過去か?それとも新しい自分か?心の奥の自分は何を欲した?」
綺麗事だ。
「だが、君は最後は笑った。」
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