ー1日目ー

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ー1日目ー

女は言う。 「だって、まさか本当にこんなことってあると思う!? 私、言ったのよ・・・人目を避けてここまで来なさいって。 なのに・・・あいつ。」 そう、この女には母がいる。 離婚をした母親が。 そして、その母親には恋人がいた。 だが、その男は決して裕福といえる男ではなかった。 「大方、うちの母さんの金目当てで近づいたんでしょ!! 大体わかるわよ、でも最初はよかったのよ。 とりあえず働いてたし・・・。 でも、聞いてよ!」 そう、男は働いてはいたがある日を境に働かなくなった。 ・・・というよりかも働けなくなったのだ。 持病のせいだという。 そのせいで仕事すら奪われてしまった。 しかも考えられるだろうか? その男はろくに読み書きができないのだという。 このご時世にそのような男がいるのか?と思うだろうが、それも事実なのだ。 男は70前後、至って外見はふつうの冴えない男とでも言っておこう。 家で一日中テレビを観て、笑ってゴロゴロして・・・そんな男を見てる娘は嫌気がさしたという。 女の怒りがある日とうとう爆発した、金が作れないのなら出ていけと。 だが、その夜にその男は自殺未遂をしたのだった。 「信じられる!? あの男、自殺する為に睡眠薬飲んで運転した挙句事故ったんだから!! 死ぬんだったらひと様に迷惑かけないようにアルコールと一緒に飲んでどっかで野たれ死ねばよかったのに。 お陰でこっちはいい迷惑よ・・・事後処理は全部私と母さんでやったんだから!!」 女が怒るのは無理もないだろう。 それが現実なのだから。 そして、続けて言った。 「だから、追い出したのよ。 今度は私が直接連れて行ったわ・・・あの場所に・・・でも。」 そう、それがすべての幕開けになるとは知らずに女は行動に移したのだった。
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