めんどくさい男

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母親曰く お兄ちゃんのようなタイプ、発達障がいの枠にいる人たちに 「人の気持ちを考えなさい」 は無理らしい 保育園の、おうちごっこでも ペットか赤ちゃん役だった 「女の子に可愛がってもらってます」は、良さそうで、他の役出来ないし、やったらトラブル お兄ちゃんが、小中校進んだ頃は 発達障がいという言葉も 一般的に耳にするようになり そういうひとなんだと受容もされやすくなってきた 対応についても専門的な見解も 母親も仕事柄学んではいた 周りは多少引いてしまうことはあっても、本人が人と関わりたい 社会で生きていこうと思うのであれば、トラブルも含め関わりの場数を踏みながら、人の気持ちを考えることを要求するのではなく、場面に応じた対応のしかた(不本意さはあっても乗りきりかた)を覚えていくのも、ひとつの方法らしい ただお兄ちゃんの様に 一部分の能力が優れている 勉強には困らない プライドは高い 人といると疲れる 人といなくても困らないと言う かなりめんどくさい人間だ 高校 大学 通信制を選んだ 高校では通学も可能で 部活もあり、コミュニケーションの 授業もあったけど 本人が選ばなかった 単位はしっかりとれて学歴は大卒 父親も説教する関わりはやめたことで、親子喧嘩もなくなり 家も静かになった 父親も理数には強いので そのことではなにやら二人でやり取りはしていた 子どもの時は お兄ちゃんのパニックを、フォローする気のきく弟の、俺の出番も減り めんどくさい男との接点もなく このままいくのかと勝手に思っていた
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