第2話:ソーセージの行方

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 夜になりました。ルネットとメルメルはそっと家を抜け出して、お肉屋さんに向かいます。  夜の街は人通りもなく、しんと静まりかえっています。  満月に近い明るいお月さまに照らされて、石畳に長い影が二つ伸びています。  お店の前まで来ました。  厳重に戸締りがされているようで、泥棒が入ることはむずかしそうに見えます。  だんだんこわくなって来て、家に帰ろうかとメルメルを見ると、ひげをお店の屋根の方にくいっと向けます。  天窓がちょっとだけ開いているみたいです。  隣の居酒屋の前の樽にぴょんと乗ったメルメルは二軒の軒先をジグザグに飛び移りながら、あっという間に屋根に登りました。  上から見下ろすメルメルは顔をかきながら、『早く来なよ』と言っているようです。  猫って高いところから見下ろすのが好きなんですよね。
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