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それから一時間以上も経ってから、上機嫌のお巡りさんが外に出てきました。職人たちがぺこぺこお礼を言うのを手で制しながら、ふらふらと歩いていきました。
月は出ていません。またたく星たちがお巡りさんだいじょうぶかしらと目をぱちくりさせながら、いつになくあやしげな足取りを見つめていました。……
次の朝は早くから街は大騒ぎでした。
「え? なんだって? お巡りさんが襲われたって?」
「そうなのよ。昨日の夜遅くに花屋のあたりで、後ろから殴られたんですって」
「一体誰が?!」
「お巡りさんが今、探してるわ。頭に包帯をぐるぐる巻いてたって」
「だいじょうぶなの? そんなケガをしてるのに」
「さあ? 『わしの大事な金時計を盗むとはけしからん。なんとしても見つけて懲らしめてやるんだ』ってすごい剣幕なんですって。家にも帰ってないらしいわよ」
「あら! あのご自慢の金時計が盗られちゃったの? それは大変だわ」
市場のあちらこちらで、おかみさんたちとお店の人が話をしています。お巡りさんが襲われるなんてとみんな不安そうですが、いつも威張ったりしているだけに金時計がなくなったと聞いて、ちょっと口の端で笑っている人もいます。
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